みなさんは大晦日、いかがお過ごしでしたか? 暖かい部屋で年越しそばを食べながら、のんびり過ごす……。それが日本人の、そして人間として正しい大晦日の過ごし方だとボクも思っていました。
しかし、今年のボクが選んだのは、以前からその名前が気になっていた「遭難ツーリング」というイベントへの初参加でした。
「遭難」なんて名前はついていますが、実態は「ゆるふわ」なツーリングだと聞いていたんです。ええ、確かにそう聞いていたはずなのですが……。今回は、大晦日に山の中でハァハァ息を切らすことになったレポートをお届けします。
少しドキドキしながら山中集合。約20人が集結。
当日の朝、地上の気温は10度程度。大晦日にしては穏やかで、「お、今日は意外と暖かいな。絶好のツーリング日和かも!」なんて余裕をぶっこきながら、ボクは愛車を積んだトランポを走らせました

今回の集合場所は、山の中腹にある駐車場。 今回の参加者は全員がトランポ組。
駐車場には、ハイエースや軽トラがずらりと並び、次々とバイクが降ろされていきます。大晦日だというのに、なんと20人程のライダーが集結していました!

参加者のバイクは、レーサー勢から、CRFなどのミニモト勢まで多種多様。大人たちが小さなミニモトやハイパワーなレーサーで山遊びする、この「何でもあり」な空気が心地よいです。(←この時はまだ、この先の地獄を知りませんでした)
久々に再会する方々
周りを見回してみると、数年ぶりに一緒に走る懐かしい顔ぶれも。現場はとても和気あいあいとした雰囲気。近況などを話したりして、数年ぶりの再会でも、バイクがあれば一瞬で時間が戻るのがこの遊びの良いところですね。
「遭難ツーはゆるふわ」という言葉を信じ、いよいよ「遭難ツーリング」の幕が上がりました。
いざ、アスファルトを捨てて「遭難」の入り口へ
最初は駐車場付近の舗装路をトコトコと流していましたが、数分も経たないうちにアスファルトが途切れて鬱蒼とした森へと続く山道へ侵入しました。

「今日はフラットダート中心だから大丈夫!」 という言葉を反芻しながら進みますが、入って早々、ボクの目の前には「フラット」とは程遠い、複雑に絡み合った木の根っこが現れました。
(←フラットってなんだっけ……?)
木の根っこに引っかかって止まってしまう人もちらほら。ボクも必死にハンドルを抑え込みますが、開始早々、かなり息が上がってきました。
難関① いやらしいヒルクライムの洗礼
身体が温まってきたところで、最初の難関が現れました。 ストレートの後半が右に曲がっている、なんとも「いやらしい」形状のヒルクライムです。
直線で勢いをつけて登りきりたいところですが、この坂、中盤から絶妙な角度で右へとカーブが始まります。このタイミングで少しでもバランスを崩すと、トラクションが抜け、一気に失速してしまう非常に神経を使うセクションでした。

1回目:勢いだけでは通用しない
「よし、行くぞ!」と気合を入れて1速で突っ込みますが、カーブの手前で恐怖心が勝ち、アクセルを少し戻してしまいました。その瞬間にリアタイヤが空転し、バランスを崩して失速。完全にスピードが死んでしまい、あえなく途中でストップ。
2回目:轍(わだち)への意識とプレッシャー
気を取り直して2回目。今度は「右側の轍(わだち)にはまりたくない」という意識が強すぎて、逆に慎重になりすぎてしまいました。轍を避けようとラインを意識しすぎた結果、肝心の登りでまたしても失速。 上と下からのプレッシャーも感じていて、焦りで嫌な汗が流れます。
3回目:何とか登りきる
深呼吸をして3回目。2回失敗した原因である右側の轍をあえて避け、斜度はきついながらもバランスを崩しにくい左側のラインを選択しました。「ここで戻したら負けだ!」と自分に言い聞かせ、視線を出口へ向けて気合でアクセルを開け続けます。
バイクが暴れ、バランスは崩しながらも、くるぶしで車体をホールドして必死に押さえ込み、なんとかギリギリ登頂成功! 「こんなはずじゃなかった……」というのがボクの率直な感想ですが(笑)、登りきった時は息も絶え絶え(笑)

尾根からの絶景、そして再びウッズへ
ヒルクライムを越えると、しばらくの間、視界が開けた気持ちの良い尾根道が続きました。途中、木々が開けた場所からは下界が見下ろせて超気持ちいい!

冷たい風が汗ばんだ身体に心地いい……と思ったのも束の間。一行は再び、太陽の光も届かない深いウッズ(森)へと吸い込まれていきました。
終わらない轍と、削られる体力
ここからが次の試練でした。 何台かのバイクが通過した後の路面は、前走者が削ったせいで木の根っこが露出し、深い轍が牙を剥いています。リアタイヤが空転してバランスを崩し、2回、3回と転倒。 バイクを起こしては走り、また転んでは起こし……冬だというのにヘルメットの中はサウナ状態で、めちゃめちゃ息が上がります。

(←ボクは大晦日に何やってるんだろう……?)
そんな哲学的な問いが脳内を駆け巡りますが、止まっている暇はありません。
Iさんの「アドバイス」で難所を何とかクリア
ウッズの終盤、体力が落ちてきた状態で現れたのは、尾根沿いのヒルクライムでした。 ここも路面状況が悪く、根っこや岩が露出し、土はフカフカの腐葉土。一向に前に進まないボクの悪い癖が出てしまいました。「登らなきゃ!」という焦りから、アクセルをガバッと開けてしまうのです。
リアホイールがギュルギュルと空転し、土を掘って埋まっていくだけのボクを見かねて、一緒に走っていたIさんが声をかけてくれました。
「回しすぎ! もっと優しく!」
ハッとしました。 グリップの悪い路面では、タイヤを空転させないようにジワッと開けてトラクションを稼ぐのが鉄則。回しすぎるとバランスを崩しやすくなるし、一旦失速すれば再発進は困難。それなのに、焦りでついパワーで解決しようとしていました。
ぎりぎりクリア
Iさんのアドバイス通り、ギアをロー(1速)からセカンド(2速)に切り替え、アクセルを「開ける」のではなく、タイヤが地面を噛む感覚を探りながら「転がす」イメージで、優しくふわっと回してみました。
すると、さっきまであんなに空転していたタイヤが、嘘のようにググッと路面を捉えたのです! トラクションを感じながら、あんなに苦戦していたスタックポイントを登りきることができました。Iさん、ありがとうございます! あのアドバイスがなければ、ボクは今頃まだあそこでスタックして年を越していたかもしれません(笑)。
無念の途中離脱、そして結論
このヒルクライムをクリアしたところで、ボクはタイムアップ。 実はこの「遭難ツーリング」、1日フルで開催されるのですが、ボクは別の用事があったため、ここで無念の途中離脱となりました。本当なら、午後の部が待っていたのですが……残念!
先へ進んでいく皆さんの背中を見送りながら、一人駐車場へと戻ります。 バイクを再びトランポに積み込み、泥を落とし、車を走らせて少しずつ現実世界へと戻っていきます。
結論:遭難ツーリングは「大人の極上の泥遊び」だった
最後までいられなかったのは心残りですが、途中まででもお腹いっぱいになるほどの濃密な時間でした。初めて参加した「遭難ツーリング」。その実態は、危険な旅というよりは、童心に帰って泥んこになって遊ぶ、「冒険心くすぐられる大人の遠足」でした。
そして一つ、大きな教訓を得ました。 オフロード界隈における「ゆるふわ」という言葉は、決して信じてはいけない。上級者にとっての「お散歩コース」は、ボクにとっては「決死のルート」になり得る。この言葉の深さと恐ろしさを痛感した大晦日でした。
また、今回は懐かしい仲間たちと再会できたのも大きな収穫でした。特に、ボクがオフロードにハマるきっかけを作ってくれたタイスケさんと超久しぶりにご一緒できたのは本当に嬉しかったです! (とはいえ、ボクがへたっぴすぎて、実際にはほとんど一緒に走れてないんですけどね……苦笑)
久しぶりの仲間とも走れて、最高の走り納めになりました。 一緒に走ってくださった皆さん、的確なアドバイスをくれたIさん、そしてタイスケさん、ありがとうございました! 来年はスケジュールを空けてフル参加し、最後まで遭難しきりたいと思います。
それでは皆さん、良いお年を!



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